2020年の診療報酬改定で注目したいこと

医療費は、患者が受けた診療に支払われる料金と医薬品代の合計額のことです。一般的には、その内の3割を患者が医療機関の窓口で支払い(小学生未満と70~75歳は2割、75歳以上は1割)、残りは患者が加入している国民健康保険や健康保険組合などの保険者が支払っています。医療の現場の収入源は、この医療費の中に含まれる診療報酬になり、患者が医師から受けた医療行為に対して、保険制度から支払われています。ただし、診療報酬はすべて医師の収入になるわけではありません。医療スタッフの人件費や検査代、治療に使う医薬品代、医療機器や備品の費用、施設の維持管理費などにも使われます。

ちなみに、この診療報酬は、通常2年に一度改定されており、医療の進歩や経済状況とかけ離れていないかを見直すために実施されているようです。最近では、2020年度に診療報酬の改定が行われていますが、ここで重視されたのが「医療従事者の負担軽減」と「医師等の働き方改革の推進」です。なお、2020年の改定では、医師だけでなく看護師に関する内容も含まれました。看護師の業務負担を軽くするために、看護補助者を多く配置する病院には加算が付くようになります。また、夜間看護体制の加算項目の見直しも行われ、「夜勤後の休日の確保」が加算の対象になりました。これによって、交代勤務の看護師の負担軽減を柔軟に行い、労働環境を改善されることを目的としています。詳しくはこちらをチェック!

さらに、この他にも、救急搬送数が年間2000件以上の大きな病院に限りますが、地域医療の確保を図る観点から「地域医療体制確保加算」が新設されています。「病院勤務医の負担軽減及び処遇の改善に処する計画」を作成することが条件ですが、医師と看護師の業務分担の見直しが行われる可能性が高く、専任の看護師を複数名配置という条件が盛り込まれているので、救急部門の配置が増えるなどの影響が考えられます。したがって、救急医療の現場で働く看護師は、働き方が大きく変わるかもしれません。